2023年3月月次祭講話要約 「元の理」

只今は3月の月次祭並びに春の霊祭を無事つとめ終えさせて頂きました。御参拝下さった皆様、誠にありがとうございました。

本日は「元の理」を拝読させて頂き、私の思うところを少しお話させて頂きたいと思いますので、少々のお時間お付き合いの程宜しくお願い致します。

「元の理」とは、親神様が教祖の口を通して伝えられた人間創造の説話であり、この世の根本原理を記した天理教の神話です。天理教教典 第三章に全文が掲載されていますので、まずは全文を拝読させて頂きます。

「元の理」拝読

この「元の理」のお話は、私も教会で生まれ育ちましたので幼少の頃から何度も耳にしておりました。
しかし、このお話は子供の私からすれば日本昔話に出てくるような「おとぎ話」の様に聞こえていました。

別席では「元の理」について次のように教えて頂いております。

私達は生まれて物心がつくまでの事は、大方記憶になく、母親の胎内にいた時、出てきた時の事は何も知らないのです。ですから、自分が誰から生まれいつ何処で生まれたのかは親から教えて頂かないとわからないのです。しかし、親が言った事を疑えば、自分の親も年齢も生まれた故郷も全てわからなくなってしまいます。それと同じように人間が創造された元はじまりを知るものは誰一人いないのであります。元はじまりを知っているのは人間を創造された親神様だけであり、親神様から教えて頂かなくてはわからないのであります。我々は教祖のお陰で親神様が人間世界を創造された元はじまりの話を聞かせて頂く事ができました。この親神様のお話である「元の理」を素直に信じて通らせて頂く事で、人間としての本当の幸せの道があります。と、このようにお話下さいます。

「元の理」を「おとぎ話」と思うのは、その当時の人々の理解の能力に合わせてお話されたからかもしれません。その当時の方々は、地球が丸く太陽の周りを回っている事も、月が地球の周りを回っている事も、地球が自転している事も、太陽系があることも宇宙がある事さえも知らない方々ばかりです。また、小さな世界で言えば、我々の身体は沢山の細胞で構成されていて、細胞には核があってDNAがあって遺伝子情報が詰まっている事も、病気になる原因が微生物やウイルスである事さえしらない方々です。その様な先人の方々に「元の理」をお話する際に、理解が出来るように目に見えるものに例えてお話をされたため「おとぎ話」の様に聞こえるのかもしれません。

しかし、現在は科学が進歩していますので、この「元の理」のお話が科学的にも根拠のあるお話として証明されてきています。科学の難しい話はここではしませんが、大切なのは「元の理」のお話が真実であるという事であり、前述した通り創造された親神様のお話を疑っては何もかもがわからなくなってしまうということです。この地球では植物や動物が進化する何億年もの間、変わることなく水が液体として存在し、大気には酸素があり、人間が進化した際に文明が栄えるのに都合が良いように鉄や鉛や銅などの鉱物が沢山あるなど、全て人間の都合の良い環境であります。これが全て偶然出来て、偶然進化したとは到底考えられないのであります。現在、人間が観測できる範囲の星で、地球の様に水が液体として存在し、鉄などの鉱物が比較的浅い地表から採掘できる星はないそうです。また、人間が進化する何億年もの間に地球の環境が壊れてしまう、または星自体が消滅するような、大きな隕石との衝突もありませんが、これも太陽系の地球より外にある大きな惑星である土星や木星の引力で大きな隕石を吸収してくれているからだそうです。

そして「元の理」のお話にある「三度の出直し」についても、現在では地球全体が赤道付近も含め完全に氷床や海氷に覆われた状態であるスノーボールアース(いわゆる氷河期)が3回起こっており、その度に生物が進化したという事が科学の定説となりつつあるとの事です。

 おふでさきに
  このよふハ一れつハみな月日なり
  にんけんハみな月日かしもの                         六-120

 とありますように、この全宇宙は親神様の身体であり、その中に暮らしている人間の身体も親神様からの「かりもの」、親神様からすると「かしもの」であると教えられています。

 ですから、この世界があり人間に都合が良い環境も全て当たり前ではない訳であります。本日の祭文で奏上させて頂いた「今日の世相にお見せ頂く不安や苦しみの元をしっかりと見据え 一人ひとりが救けを急き込まれる親の思いを思案して」とありますように、親の思いを思案しなくてはならないのだと思います。最近の出来事の一つに、鳥インフルエンザの影響で鶏を殺処分したため、卵が少なくなり値段が高騰しており、我々もさらには卵を使う食事を提供する方々にとっても不安な事だと思いますが、これは食物を無駄にしていませんか?という親神様からのメッセージなのではないでしょうか?現在、日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は年間522万トン。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2020年で年間約420万トン)の1.2倍に相当します。この食品ロスを国民一人当たりに換算すると「お茶碗約1杯分(約113g)の食べもの」が毎日捨てられていることになるのです。これは一人一人が考えなくてはならない大きな問題だと思います。また、現在起きている様々な天災についても何かしら考えないといけないメッセージが沢山あるように思われます。

 本日は「元の理」を拝読させて頂き、私の思うところの一部をお話させて頂きました。私自身、この人間に都合が良い環境が全て当たり前ではないという事を考えて、日々に感謝して通り、また親神様が人間を創造された目的である「陽気ぐらし」を目指して、互い立て合い扶け合いの精神で、私自身が通らせて頂きたいと思いますので、皆様方におかれましても同様の精神でお通り頂ければ幸いです。

ご清聴ありがとうございました。

【参考書物】
1. 秋治・shin ; 生命の進化 令和編 科学の進歩で見えてきた「元の理」,(合)シンネットワーク,京都,2022年
2. 平野知一;元の理を掘る,天理教道友社,天理,1995年

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