2025年6月月次祭講話要約「天の与え」
本日は旭川でも28℃と気温が高くなり、庭ではあやめや菖蒲が花を咲かせて、すっかり夏らしい気候となってまいりました。また本日は天候にも恵まれ、爽やかな陽気の中、こうして6月の月次祭を皆さまとともに陽気に勇んでつとめさせていただけたことを、心から嬉しく思います。ご参拝いただきました皆さまに、心より感謝申し上げます。
本日は「天の与え」について、お話させていただきます。
我々の身体は親神様からの「かりもの」であり、心だけが自分のものと教えていただいております。また、人間が暮らすこの地球全体も、親神様の「懐住まい」であると教えられております。
さて現在、お米の不足による価格高騰が続いています。ではなぜお米が不足しているのでしょうか?その主な原因は、「異常気象による不作」「備蓄米放出の遅れ」、さらに「海外観光客の増加による飲食需要の高まり」など、複数の要因が複雑に絡み合った結果だといわれています。大阪で開催されている万博では「食のパビリオン」が設けられ、新しい外食のあり方を「宴~UTAGE~」として世界に定着させることを目指しているそうです。
このように様々な要因が絡み合ってお米が不足しているとのことですが、果たしてそれが根本的な原因なのでしょうか?私は、必ずしもそうではないと思います。やはり我々が、命を養う食べ物を粗末にしているために、親神様からのお与えが少なくなっているのではないかと感じるのです。教祖からは「食べ物は親神様からのお与えである」と教えていただいております。「菜の葉一枚でも粗末にせぬように」「すべてが神様からのお与えものやで」と仰せになったとおり、我々は命を養う食べ物などの「天の与え」を粗末にしてはならないのだと思います。
北海道の先住民であるアイヌの人々にとって、鹿をはじめとする動物たちは、単なる獲物ではなく「カムイ(神)」の化身とされています。動物たちは自らの肉体を人間に捧げるため、山の神の国からやって来る存在とされ、その命をいただく以上、すべての部位を余すことなく使い切ることが重要だったのです。ですから、肉は食料に、皮は衣服や道具に、骨は工芸品や儀式具に用いられました。もしこれを無駄にしたり粗末に扱えば、「せっかく与えたのに感謝しない」と神々に思われ、次からの恵み(獲物)が減らされてしまうと信じていたのです。すなわち「命を粗末にすることは神の怒りを買う行為」であり、人と自然、神との調和が損なわれることを意味していました。この教えは、自然と共に生きる民族としての「必要以上に奪わず、感謝して使い切る」という倫理観の表れだったのです。
このような事から、現在のお米の不足も、我々人間が無駄にしているために、神様から「そんなに無駄にするなら与えを減らすか!」といわれているように思えてならないのです。現代に生きる我々も、今ある食べ物や様々な便利な道具は、当たり前にあるものではなく、有り難いものであるという気持ちを持っていただくことが大切だと思います。私自身、食べ物は残さず、お水も使い過ぎず、物も使える限り使うようにし、なるべく勿体ないことがないよう心がけているつもりでした。そんな中、先日テレビで「欠品ペナルティー」という問題があることを知り、大変衝撃を受けました。
現在、問題となっている食品ロスの多くは家庭からの廃棄が占めているようですが、その番組で取り上げていたのは「欠品ペナルティー」でした。多くのスーパーやコンビニでは、卸業者に対し、商品を欠品させると「販売機会を逃した」としてペナルティーを科す仕組みになっているとのことです。このペナルティーが多額なため、多くの卸業者が必要量よりも多く生産し、残りは廃棄しているという実態でした。その方が、ペナルティー料を支払うよりも損失が少ないという理由からです。いつもコンビニに行けば当たり前のようにある「おにぎり」も、実は必要以上に生産されているからこそ常に並んでいるのだということを、初めて知りました。便利な世の中となり、欲しいものがあればお金さえ払えば不自由なく手に入る現代社会は、このような背景の上に成り立っているのだと気づかされました。
この問題を解決することは、今の世の中においては容易なことではないのかもしれません。しかし、この世にお与えいただいている物は全て「天の与え」であるということを理解し、我々一人ひとりがこのような事実を重く受け止め、お店に行っても多少の欠品は仕方がないと受け入れる心を持つことも大切だと思います。知らないうちに自分も食品ロスに加担していたことを反省し、今あることを当たり前と思わず、有り難いことだと感じることが大切だと改めて思いました。それがさらに食品ロスの削減につながり、今起きている自然災害を少しでも鎮めていただくご守護につながり、食料問題の根本的な解決にも通じるのではないでしょうか。
この世にお与えいただいている物は全て「天の与え」です。教祖から教えていただいている「菜の葉一枚でも粗末にせぬように」「すべてが神様からのお与えものやで」というお言葉を胸に、食べ物や道具などを粗末にせず、大切に使わせていただくよう心がけてまいりましょう。
ご清聴ありがとうございました

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相談者:教会長
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